訪問看護と脳血管疾患
2024/08/19
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訪問看護で最も出会う可能性の高い疾患は「脳血管疾患」です。この病気は症状の重さや種類が多岐にわたり、看護師にとっては多様なケアが求められます。今回は、看護師として知っておくべき脳血管疾患の基本情報から、具体的なケアの方法までを詳しくご紹介します。
脳血管疾患とは?
「脳血管疾患」とは、脳の血管の異常が原因で起こる脳・神経の疾患の総称です。脳卒中も脳血管疾患の一つであり、その他には「高血圧性脳症」や「脳血管性認知症」も含まれます。
2023年度の調査によると、訪問看護の利用者の約12.9%が脳血管疾患に罹患しています。この割合からも、訪問看護における脳血管疾患の重要性がわかります。
脳血管疾患の種類
脳血管疾患は大きく分けて「血管が詰まる」脳梗塞と「血管が破れる」脳出血の2種類があります。それぞれの症状と対処法を見ていきましょう。
血管が詰まるタイプ:脳梗塞
脳梗塞は、血管が詰まる原因と梗塞された部位によって症状が異なります。
脳梗塞の主な原因
心原性脳梗塞:心臓の機能が原因で生じる脳梗塞。太い血管に梗塞が生じやすく、重い障害が残る傾向があります。
アテローム血栓性脳梗塞:コレステロールなどの脂肪が動脈の内側に溜まって動脈硬化を引き起こし、脳梗塞に発展します。運動障害や感覚障害が主な症状です。
ラクナ梗塞:脳の深部を流れる細い血管が詰まることで起きる脳梗塞。半身の運動麻痺や感覚障害、構音障害が主な症状です。
血管が破れるタイプ:脳出血
脳出血は、脳内の血管が破れることで起こります。高血圧が原因であることが多く、出血量が多いと命に関わることがあります。
訪問看護でのケア方法
訪問看護では、脳血管疾患の後遺症や再発防止に向けた様々なケアが求められます。具体的なケア方法を以下にまとめました。
1. 後遺症に対するケア・介護
脳血管疾患による後遺症に対しては、日常生活をどのように送ればよいかのサポートが重要です。傷病状態の監視、排泄ケア、リハビリテーション、日常生活のサポートなどが含まれます。特に、自立した生活によるQOLの向上を目指します。
2. 血圧や全身状態の管理
高血圧は脳血管疾患のリスク要因の一つです。訪問看護時には血圧を測定し、結果を記録して医師と連携しながら生活指導や薬物管理を進めます。
3. 生活習慣の改善
食事管理、適度な運動、禁煙などのアドバイスを通じて、生活習慣の改善を図ります。これにより、再発防止につながります。
4. 服薬管理
血管疾患の種類に応じた服薬管理を行います。正しい服薬は、生活習慣の指導と合わせて行うことで一層効果を発揮します。
5. 環境の改善
後遺症に対するリハビリテーションと並行して、生活環境の改善も行います。例えば、自宅の床に物を置かないような動線の考案や、介助用具の導入などです。
6. 合併症への対応
脳血管疾患により、嚥下機能の低下や神経性膀胱の機能障害、認知機能の低下などが起こることがあります。訪問看護時にはこれらの症状を早期に発見し、適切に対応します。
まとめ
脳血管疾患は訪問看護師にとって非常に身近な疾患ですが、その症状や必要なケアは多岐にわたります。超高齢化社会と在宅医療の推進により、今後さらに多様な症状を持つ利用者が増えることが予想されます。柔軟な対応と勤勉な姿勢を持って、唯一無二の看護を目指しましょう。
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